第8高炉(平成14年11月3日)

製 作 編


耐火煉瓦と炉底(植木鉢6号)

アスファルトの上での実験なので
アスファルトを傷めない為と水分を
抑えるために耐火煉瓦は一番下に3列に
隙間を作り並べ、その上に渡すように
2段を重ね計3段としました


炉底構造

炉底は得意の植木鉢(6号浅鉢)を加工
ベビーサンダ−にダイヤモンドカッター
(価格980円)で羽口を削り
ノロ出し口は底ギリギリに2センチ径
ほどの穴を開け内側に粘土を塗って
ノロ出し口に向かって傾斜をつけます




炉は植木鉢(6号深鉢)の底を抜き
市販の煙突(内径約11センチ長さ約
45センチ)を乗せ取り付け部に
蚊取り線香の缶(内径約13センチ)を
はめこみ、隙間に粘土を詰め込みます
炉低にパイプを付けて炉をのせたのが
写真の様になり原型の完成です


組み上げ

ペール缶の底部側面に耐火煉瓦より
やや大きめの穴と送風パイプの穴を
開けておき、薄い鉄の板でコの字型
(耐火煉瓦大)を作っておき、炉低に
耐火煉瓦を1個置いて組み上げます
周りは砂で、つなぎ目や隙間は粘土で
ふさぎます


組み上げ2

ペール缶上部よりやや下まで砂で
埋めます

完成

創業時は煙突の周りに底を抜いた
ペール缶を2段目として乗せ、中に
石綿を入れて保温しました






操 業 編



9時53分 火入れ

送風機は370ワットのブロワ−を
スライダックで制御しましたので
点火時には20ボルトで
送風しながら丸めた新聞紙に火を
付け投入し、すぐに少量の炭を入れ
ます(この辺から植木鉢にヒビが入
る音がし始め、いつも内心ドキドキ
です)
10時07分





加熱

炭に着火したことを確認したら
ブロワ−を25〜30ボルト程度に
上げ炭を炉頂まで入れます
新聞紙からの煙がおさまりますが
砂や粘土からの湯気は続きます

11時05分 原料挿入

炉頂の炭に自然に火が付き還元
の雰囲気が出来てきたら35〜
40ボルトに上げ原料を
挿入し始めます


原料の配分
原料 粉鉄 石灰
300g 600g 30g

11時17分 加圧

所長考案の加圧方法を私は植木鉢
でやってみました
11時20分 ノロ出し1回目

ケラにノロが噛むのがいやで
出来るだけ全てのノロを出したい
気持ちから3回目の原料挿入終了時
に1回目のノロ出しをしました
すでにノロが下がっていました
11時33分 ノロ出し2回目

ノロ出し口を近所で取った赤土で
ふさぎましたが容易に作業が
出来たので頻繁にノロ出しを
やりました
12時10分 安定した操業状態に成功の予感

そう思っていつも失敗
12時16分 ノロ出し3回目

ノロ出しに自信が付いたので
あわてず時間を置いて余裕の3回目
12時25分 原料挿入

煙突の内径が小さいので炭や原料が
詰まりやすいので時々小突いて
落としていましたが返って詰まる
ようなので、やはり炉の形状は
円錐形が望ましい事をあらためて
感じました
14時10分 操業終了

炭の挿入を終えて炭が減ってくると
炉内圧力が下がるので蓋の植木鉢の
底の穴の部分にも石でふさいで更に
圧力を保とうとしました
通常タタラの操業終了時には炭が
燃えている状態でケラを取り出し
ますが、炭が勿体無い事と安全の
為に最後まで送風し続けました
14時12分 解体

炉のてっぺんから炉内部を写した
所です植木鉢の縁が見え健在な事が
確認出来て一安心
           
           
解体2

コの字型の鉄板を取り出すと砂が
抜けて炉だけが取り出せます
解体3

煙突をつまんで引き上げたら
一番下の耐火煉瓦まで全部
くっついて出てきました
炉の部分には砂が焼きついて
いました
解体4

炉の部分の植木鉢を金槌で割ると
炉内部が現れました
解体5

炉低だけ残った状態
ケラが見えます


ケラ

3キロの餅鉄から役430グラムの
ケラが出来ました
高速切断機で切って見ると見事な
金属光沢が表われました

大成功!


ケラ拡大



ま と め

釜石は日本の近代製鉄発祥の地ですが、その釜石から産出される餅鉄と言う高純度の
磁鉄鉱石を原料に、おそらく世界最小のタタラ製鐵によって鉄を作る事に成功したの
ではないかと思います。
「瓢箪から駒」ならぬ「植木鉢から鉄」を作ることが出来て感激しました。
これもひとえに所長を始め多くの皆さまの御支援、御助力の賜物と感謝いたします。
まだまだ多くの課題もございますし改善点も多く考えられますので、今後も取り組み
たいと思います。
よろしくお願い致します。
                    T